TSUYOMI研究コラム 08
1.問いの提示
TSUYOMIは、どのような契機によって再編されるのでしょうか。
これまでの整理では、TSUYOMIは判断の反復によって安定化し、その安定が無自覚化すると硬直化のリスクが生じると考えました。しかし、硬直化が進んだ場合、構造はどのように再編されるのでしょうか。
再編は自律的に起こるのでしょうか。それとも外部からの強い圧力によってのみ生じるのでしょうか。
TSUYOMIを実務OSとして理解するためには、再編の契機を明確にする必要があります。
2.通説の整理
組織変革に関する議論では、再編の契機はしばしば外部環境の変化に求められます。
市場構造の変化、競争条件の激化、技術革新などが既存の枠組みを揺さぶり、組織の再構成を促すとされます。ティースの議論も、環境変化に対する再構成能力を重視しています。
一方で、内部からの学習も再編の契機となります。アージリスとショーンが示したダブルループ学習は、既存の前提そのものを問い直す契機を内在的に持つ可能性を示唆しています。
このように、再編は外部衝撃による場合と、内部反省による場合の双方が指摘されています。
TSUYOMIの再編も、同様に整理できるのでしょうか。
3.TSUYOMIからの再定義
TSUYOMIの再編は、判断前提の妥当性が疑問視される瞬間に生じると考えます。
安定化した構造は、通常、無自覚に機能しています。しかし、次のような状況において、その前提が揺らぎます。
第一に、継続的な成果低下です。
判断の反復が期待通りの結果をもたらさなくなったとき、前提の再検討が始まります。
第二に、強い外部衝撃です。
事業環境の急変や制度変更などが、従来の前提を機能不全に陥らせる場合があります。
第三に、内部からの問題提起です。
経営者や組織内の構成員が、既存の価値基準に違和感を覚える場合があります。
再編の契機は、いずれも「前提が十分に機能していない」という認識に結びついています。したがって、再編は単なる方向転換ではなく、判断生成構造の再設定と理解できます。
4.実務への含意
実務においては、再編の契機を外部要因のみに求めるべきではありません。
重要なのは、前提が機能しているかどうかを定期的に検討する姿勢です。成果が維持されている場合でも、その成果が偶然なのか、構造に支えられているのかを検討する必要があります。
また、違和感や少数意見を排除しないことも重要です。再編の兆しは、必ずしも大きな失敗として現れるとは限りません。小さな不整合が、構造の再検討を促す契機となる場合があります。
TSUYOMIを実務OSとして扱うとは、再編の契機を外在的な事故としてではなく、構造の一部として理解することです。
5.未解決点の提示
もっとも、再編が始まったとしても、それがどのように新たな安定へと移行するのかは明らかではありません。
再編は段階的に進むのでしょうか。それとも断続的に生じるのでしょうか。また、再編の過程でどのように組織内の合意が形成されるのでしょうか。
TSUYOMIの再編を理解するためには、再編のプロセスそのものを検討する必要があります。
次回は、「TSUYOMIと再編のプロセス」について整理し、構造がどのように移行するのかを検討します。