TSUYOMI研究コラム 09
1.問いの提示
TSUYOMIは、どのような過程を経て再編されるのでしょうか。
前回、再編の契機は、判断前提の妥当性が疑問視される瞬間に生じると整理しました。しかし、契機が生じたとしても、それが直ちに新たな構造へと移行するわけではありません。
再編は単発の決断ではなく、一定の過程を伴うはずです。では、その過程はどのように理解すべきでしょうか。
2.通説の整理
組織変革論では、再編は段階的に進むと説明されることが一般的です。
既存の枠組みが機能不全を起こし、その認識が共有され、新たな方向性が模索され、やがて制度や行動に定着していくという流れが想定されます。
また、アージリスとショーンが示したように、前提そのものを問い直す学習は、表層的な行動変化とは異なる深度を持ちます。
このような議論は、再編が「認識の変化」と「行動の変化」の双方を含むことを示唆しています。
TSUYOMIの再編も、同様に段階的な理解が可能でしょうか。
3.TSUYOMIからの再定義
TSUYOMIの再編は、三つの局面を経ると整理できます。
第一に、違和の顕在化です。
従来の判断前提が十分に機能していないという感覚が生じます。この段階では、構造はまだ明確に言語化されていません。
第二に、前提の言語化です。
これまで暗黙であった判断基準や価値の優先順位が明示されます。ここで初めて、何が問題であるのかが共有可能になります。
第三に、新たな反復の開始です。
修正された前提に基づく判断が繰り返され、その結果が経験として蓄積されることで、新たな構造が安定化に向かいます。
再編は、この三局面を経て初めて構造の移行となります。単なる方針転換は再編とは言えません。判断の反復が新たな方向へと移行したとき、初めてTSUYOMIは再構成されたと考えられます。
4.実務への含意
実務においては、再編を意図的に進めることは容易ではありません。
違和の顕在化を無視すれば、再編は始まりません。前提を言語化しなければ、共有は生じません。そして、新たな判断を繰り返さなければ、構造は定着しません。
したがって、再編のプロセスを支える実務上の要点は次のとおりです。
- 判断の違和を記録する
- 前提を明示的に議論する
- 修正された前提に基づく判断を意識的に反復する
TSUYOMIを実務OSとして扱う場合、再編は例外的な事態ではなく、構造の更新過程と理解されます。
5.未解決点の提示
もっとも、再編が常に意図通りに進むとは限りません。
違和が十分に共有されない場合、再編は中断されます。前提が言語化されても、新たな反復が続かなければ、構造は旧来の状態に戻る可能性があります。
また、複数の前提が競合する場合、どの方向が選択されるのかという問題も残ります。
TSUYOMIの再編プロセスをさらに理解するためには、再編を方向づける原理を明らかにする必要があります。
次回は、ここまでの議論を統合し、TSUYOMIを実務OSとして暫定的に定義します。